INTERVIEW インタビュー

“ヒロアカ”〈デク〉役・山下大輝×”ヴィジランテ”〈コーイチ〉役・梅田修一朗 主演声優対談インタビュー

――山下さんが最初に『ヴィジランテ』の物語に触れた際の印象を聞かせてください。

山下:“ヒロアカ”のスピンオフ作品ということですが、時系列は“ヒロアカ”より数年前の物語。相澤先生など“ヒロアカ”で大活躍しているプロヒーローたちの過去が描かれていて、先生やヒーローたちがまだ未熟で、こんなにがむしゃらに頑張っていた時代があったのかと思うと、読んでいてとても興味深かったです。

――登場人物以外に、“ヒロアカ”の作品世界と共通していると感じた部分はありましたか?

山下:シリアスとギャグのバランスでしょうか。“ヒロアカ”原作の堀越先生らしいギャグを拾いつつ、“ヴィジランテ”独自の雰囲気みたいなものも入っているという印象を持ちました。

――では逆に、この作品ならではだと感じたポイントは?

山下:“ヒロアカ”ではヒーローを目指す子供たちがメインとして描かれていますが、『ヴィジランテ』は社会的にはヒーローではない、しかも大人たちがメインの物語だというところが大きな違いだと感じました。ヒーローの目の届かないところでも問題は起こっていて、ヒーローではない主人公がヴィジランテとしてそれに立ち向かっていく姿を描いた、“ヒロアカ”よりもローカルなところがこの作品ならではだと思いました。

――山下さんから見た、航一の印象も聞かせてください

山下:自分に自信が持てず、一見すると勇気はないように見えますが、「誰かのために頑張りたい」というヒーローにとって一番大事な部分をすでに持ち合わせているキャラクターだと思いました。そんな彼が、ナックルやポップたちとの出会いを通じ、さまざまな問題に巻き込まれる中で、少しずつ前に進む勇気を培っていくところが本作の見どころなのではないでしょうか。壁にぶつかりながら何度も立ち上がる彼の姿に感化され、熱くなる視聴者は多いと思います。

――せっかくなので、梅田さんにもデクの印象をお聞きしたいです。

梅田:「ヒーローを目指す主人公」と聞くと強気な俺様っぽいキャラクターを想像しがちですが、デクはそれとは真逆でした。振り返ると当初のデクって、爆豪からひどい扱いを受けてましたよね?

山下:そうなんだよ。した方は絶対忘れてはいけないことだし、あった事実は変えられないけど、そういうものも全てこれからずっと背負っていくっていう強いメッセージを感じるシーンだよね。ただ、本当に最初は辛かったよね……。

梅田:クラスメイトからあんな扱いを受けたら、僕だったら絶対に性格がひん曲がってしまったと思います。でも、デクはそうではなかった。先ほど山下さんが航一の印象として言ってくれた「誰かのために頑張りたい」というヒーローにとって大事な部分を、デクも持っていました。ひどい仕打ちを受けても信念を曲げないって、なかなかできないことだと思います。見ていて勇気づけられるキャラクターだという印象ですね。

――ヒーローとして活躍する姿を見て、どう感じますか?

梅田:デクの扱いと同時に“ヒロアカ”序盤で印象に残っていることがあって、それは第1話から登場していた「これは僕が最高のヒーローになるまでの物語だ」というセリフ。デクが積み重ねた頑張りこそが、“ヒロアカ”の歴史なんですよね。回を重ねるごとにヒーローへ近づいていき、今では現代を生きる僕たちにとってもヒーローとしての1つのシンボルとなった存在だと感じます。本当にかっこいい!

――ヒーローとして大事な要素を持っていた以外に、デクと航一に共通点はあると思いますか?

山下:それはもう“オールマイト好き”だということでしょう!

梅田:そうですね。航一のコスチュームもオールマイトのパーカーだし、部屋にもフィギュアとポスターを飾っていますし。

山下:航一って、オールマイトパーカーを纏うことで自信を出しているよね。

梅田:間違いなくそうだと思います。あれを着ることが「ザ・クロウラー」への気持ちの切り替えになっているんでしょうね。デクも、オールマイトからもらった「君はヒーローになれる」という言葉がきっかけでしたしね。

山下:オールマイトがいなければ、2人ともヒーローへの道を踏み出せていなかったんだね。デクにとっても航一にとっても、オールマイトはすごく大切な存在だということが共通点です。

――『ヴィジランテ』は「オールマイトと出会わなかったデクの物語」だと言われています。その変わり、ポップとナックルという存在が航一をヴィジランテの道へと誘うのですが、この3人の関係性をどのように感じますか?

山下:すごくアンバランスですよね。原作を読んだ際、最初に「航一騙されてない? 大丈夫?」と思っちゃいました(笑)。しかし読み進めるうちに、アンバランスに見えるけれど、だからこそお互いの足りない部分を補い、かみ合っているんだと感じるようになりました。航一含め全員が「真っすぐじゃない」という印象で、何をしでかすかわからないからこそワクワクします。3人の間でどんな風に絆が育まれていくのか、どんな関係に発展するのか気になって、物語のスパイスとなっていると感じます。ナックルは特に見た目だけだと、敵味方どっちってなったもん(笑)!まさか主人公の師匠になるキャラクターだなんて(笑)。アメリカのヒーロー作品で例えると、DCっぽさを感じます。

梅田:確かに!

――ポップはどうでしょう?

山下:僕的に、3人の中で一番ダークに見えるのがポップです。一見キラキラ見える、見せているキャラこそ闇が深いんじゃって思うんですよね。ポップは自分のキャラを作って生きているからこそ、その分我慢していることも多いと思います。本来の自分を隠して生き続けるって辛いと思うし、自分がわからなくなってしまうのではないかと心配になります。ただ、自分を強く見せることも努力だし、そうすることで本当に強くなれる人もいます。自分を追い込んで、さらに上に行こうというガッツのあるキャラクターでもあるのかなと感じました。

――3人以外に気になるキャラクターはいますか?

山下:“ヒロアカ”のキャラクターたちはもちろんなのですが、僕がアフレコに参加した第1話に登場していた釘崎くぎざき爪牙ソーガは気になっています。勝手に序盤以降は活躍しないキャラだと思っていたのですが、別の現場で(ソーガ役を演じる)鳥海浩輔さんにお会いした時に「まだ『ヴィジランテ』のアフレコに参加している」と言っていたので驚きました(笑)。あのキャラがどんな活躍をするのか、すごく楽しみにしているんです。

梅田:ソーガに限らず、思わぬキャラが最後まで物語に絡んでいたり、重要キャラだったりするのが『ヴィジランテ』なんですよ。

山下:そうなの!? 放送がますます楽しみになってきました……!

――まもなく放送開始となりますが、約10年前に“ヒロアカ”の1話が始まる前の山下さんはどのような気持ちだったのでしょうか。

山下:めちゃくちゃドキドキしていました。プレッシャーもありましたしね。ただ、始まるワクワクの方が大きかったような記憶があります。早く視聴者に届けたいと思っていたし、絶対に面白いと思ってくれるという自信もありました。

梅田:それが今では約10年も続いているんですね……!本当にすごいです。僕も今、この作品ができるだけ多くの方に届けばいいなという思いです。嬉しい気持ちも楽しみな気持ちもあるけれど、あまり浮かれないように(笑)。まだアフレコは続いているので、集中してやっていくことだけ考えています。

山下:アフレコでやれる事は全部やりきったんだから大丈夫!たまには浮かれちゃおう(笑)!

梅田:でも不思議なことに、まだ““ヒロアカ”の世界の一員になる”という実感が湧いていないんですよね。『ヴィジランテ』に関わる前から“ヒロアカ”は好きで見ていた作品だったので、同じ世界戦を生きるキャラクターを演じられるなんて本当に光栄なことなのですが……。第1話が放送されてやっと実感できるのかもしれないです。

――放送を楽しみにしているファンへ、メッセージをお願いします。

山下:新しい会社「ボンズフィルム」が手掛けているということで、ボンズから継承された映像美で物語が紡がれていて、「これは良い作品になるぞ!」と確信を持ちました。こっちのけんとさんが歌うオープニングテーマも発表となり、“ヒロアカ”の3期や劇場版第1作でで菅田将暉さんが主題歌を担当されたこともあって、そこにもエモーショナルな繋がりを感じました。次の展開が気になる作りにもなっているので、まずは1話を見てもらい、ワクワク感を楽しんでほしいです。

梅田:劇伴も“ヒロアカ”と同じく林ゆうきさんも担当されていますし、“ヒロアカ”の世界観を感じられつつも、新しい『ヴィジランテ』の物語が展開していきます。そしてもう1つの本作ならではの要素として、先ほどお話にもあった、航一とナックル、ポップの関係性。第1話から異質な出会いや、ぶっ飛んだ戦闘シーンが登場します。ワクワクハラハラしながら見てほしいですし、その中で航一がヒーローとして成長していく姿に期待してください。

TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』FINAL SEASON 2025年秋放送!
TVアニメ『ヴィジランテ 僕のヒーローアカデミア-ILLEGALS-』4月7日23:00より放送開始!

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