INTERVIEW インタビュー

鈴木健一監督 オフィシャルインタビュー

――『ヴィジランテ』に関わることになった経緯を教えてください。

監督:プロデューサーから「どうですか?」とお電話がありました。実はその時『ヒロアカ』のアニメは見ていたのですが、『ヴィジランテ』のことは知らなかったんです。お電話をいただいたことをきっかけに読んだのですが、“自分の作風に合っている”と感じたんです。アクションとコメディで構成されていて、その中に感動が詰まっているという少年漫画の王道をいく作品が好きなので、そこが「良い」と思ってお受けすることを決めました。

――原作コミックをご覧になっての作品の印象を教えてください。どんな部分に面白さや魅力を感じられましたか?

監督:『ヴィジランテ』について、集英社さんから「ある意味、オールマイトに出会わなかったデクの物語」と聞いて、実際に読んでみても『ヒロアカ』でスポットライトの当たらなかった人たちの頑張りが描かれていて、そこが非常に魅力的だと感じました。

――どのような部分を意識・注意して本作の映像を作られていったのでしょうか?

監督:行間を埋める意味で、原作に描かれてない部分もアニメでは表現しなければならないので、原作のイメージを損なわず、さらに作画や音楽、声優さんの力でより一層盛り上げられるように意識しています。アニメで見るのとマンガで読むのとでは印象が違うので、激しいものは激しく、リアクションは大きくなど、ブーストをかけないといけないという、アニメ作りにおいての私なりの主観があります。もちろん原作チームに確認はとっていますが、なるべくそうやって楽しめる作品にできるように心がけていますね。

――制作する上で、難しさを感じた点はどこでしょうか。

監督:薄暗い路地裏のシーンが多く登場するのですが、参考にできる場所が日本では少ないことでしょうか。グーグルマップで探しても、全然ないんですよ。特に都内の路地は、人間が通れないくらい狭かったり、逆に比較的明るくてこざっぱりしていたり。薄暗くて、パイプむき出しで、ちょっと人が歩けるくらいの広さ……という、理想とする路地の参考がなかなか見つからなかったので、とても苦労しました。

――メインキャラクターとなる航一、ポップ、ナックルの3人の印象、魅力に感じる部分は?

監督:三者三様のバリエーションがあって良いな、という印象です。世界観を盛り上げる要素になっていて、そういった意味で魅力的だと感じています。

――梅田さん、長谷川さん、間宮さんと演技についてお話したこと、また3人のチーム感はどのように感じていらっしゃいますか。

監督:ブースの外で見ていても、3人の仲の良さは伝わってきます。僕からは具体的な演技の指示は出しておらず、音響監督の三間さんにお任せしている感じですね。

――キャストのインタビューでは、度々「ポップの作画がかわいい!」と話題になります。

監督:本当ですか? 嬉しいです。特別ポップに力を入れているわけではないのですが、やはり歌って踊るシーンがあるので、そこに可愛らしさが出ているのではないでしょうか。ポップの個性「跳躍」を使ったシーンでもあり、歌に関しても劇伴を担当されている林さんにお願いして、歌詞も含めて彼女の魅力を表現してくださいました。

――作中に登場するキャラクターで、監督が注目しているキャラクターは誰でしょうか。

監督:私がそれを言ってしまうと、視聴者の見方が限られてしまう気がして、今の段階では言わないでおくことにします。『ヒロアカ』のキャラクターが登場するのも見どころになっている作品ですので、『ヴィジランテ』のキャラクターがそれにどう絡んでいくかが魅力や面白さに繋がっていると思います。

――では、アニメーションを制作される中で、原作とは印象の変わったキャラクターはいらっしゃいますか?

監督:航一です。もう少しヒーロー然としている良いやつなのかと思っていましたが、原作サイドから「航一は空気が読めないタイプなんです」と言われて、作っていくうちに「確かに」と思うようになりました。会話の中に、多少の失礼発言や余計な一言が混じっているんですよね(笑)。自分の家にナックルやポップが好き勝手出入りしていることを受け入れているようで、心の中でポロっと失礼なことを言っているじゃないですか。典型的な主人公タイプよりは、実在していそうな普通の主人公だということが彼の魅力だと思います。

――完成された映像の手応えはいかがでしょうか。

監督:手応えは非常に感じております。今はまだ言えないことが多いので、放送が好評でしたらもう一度ネタバレありでインタビューしてほしいくらい(笑)。いろいろな仕込みを加えて、これからどんどん盛り上がっていきます。作画、撮影、CG、音響らスタッフみんなが力を注ぎ、思い描いた以上にとても良い作品になりました。見ていただけたら、絶対に「面白い」と思ってもらえると思います。

――第1話の見どころ、注目ポイントを教えてください。

監督:先ほどと重なりますが、原作にはないキャラクター表現や、今後の3人の動向、そして『ヒロアカ』の世界とどう絡んでいくかが見どころになっていきます。『ヒロアカ』に登場したキャラクターもたくさん出てきますし、そんな彼らの『ヒロアカ』では見えなかった一面も描かれます。そこが『ヴィジランテ』の魅力で、『ヒロアカ』の魅力にもつながっていると思います。

――放送を楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。

監督: 『ヒロアカ』のスピンオフ作品ということで、『ヒロアカ』好きの人も、見たことがない方も、別の視点から楽しめる作品になったと思います。『ヴィジランテ』を見てからまた『ヒロアカ』を見ると、より一層この世界観を楽しめるのではないでしょうか。航一、ポップ、ナックルがどういう活躍をしていくのか、期待しながら最後まで見届けていただきたいです。

TVアニメ『ヴィジランテ 僕のヒーローアカデミア-ILLEGALS-』4月7日23:00より放送開始!

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