INTERVIEW インタビュー
シリーズ構成・脚本 黒田洋介
オフィシャルインタビュー
――『僕のヒーローアカデミア』との共通点や、本作ならではの面白さはどんなところでしょうか。
黒田:『僕のヒーローアカデミア』は、「法律やルール」というものがかなり明確に描かれている原作だと思っています。例えば、「ヒーロー免許制度」とか、「“個性”の公共の場での基本使用禁止」とかですね。『ヴィジランテ』はその「法と秩序」の部分にスポットをあてた作品であり、それが本編原作との親和性を高くしていると感じています。「違法の正義」、ダークではなく「グレーゾーンのヒーロー」、本物のヒーローでは手が届かない、「街の片隅にある悪に対抗する小さな正義」…本作品の魅力は、まさにそこにあると思っています。
――どのような部分に注意して本作のシナリオを手掛けられましたか。
黒田:どの原作作品のコメントでも書いていることなのですが、僕は「原作を最大限にリスペクトして作業する」ことを信条としてますので、原作のよいと思った部分は、アニメーションで効果的になるよう手法を模索し、「映像にするとちょっとわかりにくいかも」と思った部分は、かみ砕いて描写する…そういったスタンスで脚本を書いています。もちろん、テレビ1話分にまとめるテクニックも必要ですし、コンプライアンスに抵触する部分を修正したりとかもありますが。自分の仕事は、音楽でいうと、作詩家でも作曲家でもなく、「アレンジャー(編曲家)」だと思って作業しています。
――メインキャラクターである航一、ポップ、ナックルの3人の印象はいかがでしょうか。それぞれの魅力に感じる部分を教えてください。
黒田:航一は、僕に似ていますね(苦笑)。お調子者で、鈍感で、空気が読めなくて、うまくいかなくなるとすぐにボヤいて…でもカッコつけしーで。そういう不完全というか、人間味のあるキャラクターが魅力だなと思っています。
ポップ☆ステップは、喜怒哀楽がはっきりしていて、そういうキャラクターは描いていて楽しいです。ツンデレ…というほどではないにせよ、素直じゃないところも、航一との関係も魅力的だと感じています。
ナックルダスターは、いわゆる「頑固オヤジ」ですね。無茶や無謀を繰り返している男ですが、それを徹底的に続けていると、やがてそれは「信念」や「侠気」となる。その「侠気」が彼の最大の魅力だと思っています。
――梅田さん、長谷川さん、間宮さんのお芝居の印象や、3人のチーム感をどのように感じていらっしゃいますか。
黒田:いやぁ、役者の皆さんは当然「プロ」ですし、その実力を遺憾なく発揮してらっしゃるので、僕があーだこーだ言う必要はないかと。強いていえば、航一たちの「声」を聞いたのは脚本作業が終わった後なので、「航一たちはこんな声をしているんだ」と素直に思いましたし、キャラクターに命が吹き込まれたのだと感じました。もし、本作の続編があるのなら、梅田さんや長谷川さん、間宮さんら役者さんの声をイメージしながら作業できるので、楽になるなと思ってます(笑)。
――注目しているキャラクターや、脚本を書かれる上で楽しかったキャラクターを教えてください。
黒田:当然、好きなキャラクターは航一、ポップ、ナックルです。この3人の会話は描いてて楽しいですから。
注目している(注目して欲しい)キャラは、やはり『僕のヒーローアカデミア』原作本編に登場しているヒーローたちですね。僕は”ヒロアカ”のアニメの脚本も担当しているので、2つの作品にまたがって登場するヒーローたちの「統一感とか親和性」が出せるよう、かなり気を使って作業した記憶があります。
個人的に好きなキャラは「釘崎」です。登場するたびに印象が変わっていくところが気に入ってます。
――完成された映像を観ての印象はいかがですか。
黒田:さすがボンズフィルムさんとしか言いようがありません。“ヒロアカ”アニメのときも同じことを言ってますが(苦笑)。僕はアニメスタッフの一員なので、できあがったフィルムの感想を述べる資格はないと思います。ただ、素晴らしいフィルムになっていますので、視聴者の皆さんに観ていただいて、その魅力を感じていただければ望外の喜びです。是非、視聴してください。よろしくお願いします。
――第1話のみどころや注目ポイントを教えてください。
黒田:ネタバレなしで書くと、当然、原作の第1話をアニメ化していますが、アニメはもう少し踏み込んで、その先――ラストに本作の重要キャラが登場するところまで描いてます。そこまで描くことで「ああ、これはもう一つの“ヒロアカ”なんだな」と強く感じてもらえるようにシリーズを構成してみました。是非、視聴してください。よろしくお願いします。
――放送を楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。
黒田:2つの前からの質問で、視聴者の皆さんへのメッセージは全部書いちゃった。どうしよう(←航一っぽいミスw)。
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