INTERVIEW インタビュー
オープニングテーマ こっちのけんと
オフィシャルインタビュー
――TVアニメの主題歌を手掛けられるのは今回が初。参加が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
こっちのけんと:歌手活動を始める前から『ヴィジランテ』は知っていて読んでいました。とても好きな作品だったので、お話をいただいた時は本当に嬉しかったです。
――本作の物語に触れた際の印象と、魅力的に感じた部分をお聞かせください。
こっちのけんと:現代に生きる僕たちの実生活と近しい部分があり、それがリアルで、本作の魅力に繋がっていると思いました。ヒーローも苦労しているということがしっかり描かれていて、そこが僕にとって魅力的に映りましたね。
――好きなキャラクターや、注目しているキャラクターはいますか?
こっちのけんと:いっぱいいます。僕は“個性”や性格が面白いキャラクターが好きで、『ヒロアカ』だと鉄哲徹鐵が好きでした。その名の通り、肉体を鉄化することができるキャラクターで、日常生活で鉄分をたくさん摂取すればするほど強くなるという。面白い設定ですよね(笑)。
ただ『ヴィジランテ』ではそれに当てはまらず、主人公の航一のことが好きになりました。ヒーローになることを1度諦めた主人公ということで、過去の自分とリンクする部分があり、感情移入してしまったんです。僕も社会に出たばかりの頃、誰かのヒーローになりたいと頑張っていましたが、結局なれなかったので……。「逃げたい」という気持ちがあるのに、でも「人のことは救けたい」という矛盾した気持ちが宿っている部分にとても共感できます。
――楽曲を作られる上では、作品のどんなところに注目されたのでしょうか?
こっちのけんと:作品もそうなのですが、僕の人生経験も楽曲に活かしたいと思いました。それを掛け算して導き出したテーマは、「未熟だけど、人の力になりたい」です。僕自身も未熟だけど、気づけば誰かの役に立てていたという人生だったので、そこに焦点を当てて、それを広げて行くことから作り始めました。
――タイトルの「けっかおーらい」には、どのような意味や思いが込められているのでしょうか。
こっちのけんと:僕と航一は、たくさんの失敗を重ねていることも共通しています。しかし、その失敗した経験も「それで良かった」と思えた瞬間があり、それは自分が救う側に立てた時に感じたんです。たくさん失敗して悩んだけれど、それも自分の経験に繋がって、いつか人の助けになることを「けっかおーらい」というタイトルに込めました。
――アニメタイアップということで、普段の楽曲作りと違った部分はありましたか?
こっちのけんと:今までは曲作りに行き詰ると自分の卒業アルバムやスマホにメモしてある「独り言」を読んでいたのですが、それが『ヴィジランテ』の原作に変わったのが大きな違いです。何度も読み返したのですが、読んでいるうちに作品の世界に没頭してしまい、曲を作る手が止まることも何度もありました(笑)。
しかし、原作を読むのは「確認作業」であって、行き詰ることはなかったように思います。読んでいるうちに歌詞やメロディーが頭の中に自然と浮かんできて、今までにない不思議な感覚になりました。初のアニメタイアップでしたが、好きな作品だったからか、作りやすかったです。今までにない、楽しい経験をさせていただきました。
――とても疾走感と勢いのある楽曲ですが、曲の聴きどころは?
こっちのけんと:作品の特徴をメロディーにも表現したいと思い、Aメロの入り部分で、トラックのコード進行を“浮いた感じ”にしました。それが航一の“個性”と合うのではないかと思い、聞いた方にはそこも気づいてほしいですね。
――オープニングが使用されたPVをご覧になっての感想も聞かせてください。
こっちのけんと:もう夢みたいです! 最初は通して見ようと思ったのですが、何度も止めて、巻き戻して見て……ということを繰り返してしまいました(笑)。サンタさんのプレゼントを開ける感覚というのでしょうか。とにかくワクワクして鳥肌が止まらなくなりました。普段だったら感動すると泣いてしまうのですが、今回は喜びが勝ちすぎて、ずっとニヤニヤしちゃいましたね(笑)。
――『ヒロアカ』では兄の菅田将暉さん、『ヴィジランテ』では弟のこっちのけんとさんが主題歌を担当されるということで、『ヒロアカ』の1つのテーマにあった“継承”を感じます。
こっちのけんと:確かに。僕は自分の人生なのに、主人公を菅田将暉にしてしまう癖があって。「自分はスピンオフを生きている」という感覚があり、そういう意味でも、僕自身が『ヴィジランテ』の主題歌を担当することに運命的なものを感じてしまいますね。
――視聴者に向けて、楽曲面を含めた注目ポイントをお願いします。
こっちのけんと:僕の曲は一旦置いておいて、『ヴィジランテ』という作品自体が最高に面白いです。僕の楽曲と共に楽しんで、自分の人生を振り返りながら「自分の人生間違ってなかった! 結果オーライだった!」と思ってもらえたら嬉しいです。