INTERVIEW インタビュー

エンディングテーマ yutori
(佐藤古都子、内田郁也、豊田太一、浦山 蓮)
オフィシャルインタビュー

――今回の楽曲「スピード」でメジャーデビュー。さらにTVアニメのタイアップ楽曲も初かと思います。本作へのご参加が決まった時の心境はいかがでしたか?

佐藤:驚きが先に来て、その後に嬉しいという気持ちが湧いてきました。

浦山:僕もです。全員同じ気持ちになったんじゃないかな?

豊田:最初は信じられなかったよね(笑)。

内田:なかなか実感が湧きませんでした。現実だとは思えず、「AnimeJapan2025」のステージで皆さんに発表されるまでは「本当に?」と何度も疑問に思ったほどです。

佐藤:もともと、私たち全員が“ヒロアカ”を読んでいて大好きだったので、そのスピンオフ作品の楽曲でメジャーデビューもできるということで、より「まさか!信じられない!」という気持ちが大きかったです。一緒に歩けているような感じがして、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

――『ヴィジランテ』の物語に最初に触れた際の印象を聞かせてください。

豊田:「yutoriと重なる部分があるな」というのが第一印象でした。航一が努力して苦難を乗り越え、ヴィランに立ち向かっていく姿が、弱いけど頑張って来た僕たちと共通すると感じたんです。物語自体も面白く、奥が深い作品だなと思いました。

佐藤:“ヒロアカ”の世界線ですが、まったく違った物語が展開することが「良いな」と思いました。時系列が“ヒロアカ”の数年前ということで、イレイザーヘッドが先生になる前の姿が見られるのも“ヒロアカ”ファンとしては嬉しいですよね。個人的には、航一が憧れのオールマイトを感じさせる衣装を着てヴィジランテ活動をしているところに共感しました。私自身も好きなアーティストさんの服やアクセサリーを身に着けて、ちょっと強くなった気分になっています(笑)。

浦山:“ヒロアカ”に比べてダークな雰囲気が強く、またマイナーな笑いの要素を取り入れているところが、個人的に好きな部分です。『ヴィジランテ』にしか出せない“らしさ”を感じる部分で、“ヒロアカ”と同じ世界戦なのに違いを感じて面白いと思いました。

内田:“ヒロアカ”を“日向”とするならば、『ヴィジランテ』は“日陰”の物語。本来であればスポットライトの当たらないところにフォーカスを向けたことによって、より気になる物語になっていると感じました。また、僕たちyutoriは「弱いながらも、誰かに寄り添いたい」というテーマを持ったバンドです。それが航一とリンクしていて、原作を読んでとても惹き込まれました。

――楽曲を作られる上で、作品のどんなところに注目されたのでしょうか。

浦山:航一の持っている「人が誰しも持っている弱い部分に寄り添い、肯定してあげたい」という部分に注目して、歌詞を書きました。いつも歌詞を書くときは割とスラスラ言葉が出てくるのですが、今回は普段あまり使わない言い回しにしてみようと思ったこともあり、少し難しかったです。ただ、航一と自分を重ねることで浮かんでくる言葉も多かったです。

――具体的にどの部分が、航一と重ねたことで浮かんできた歌詞になるのでしょうか?

浦山:タイトルの「スピード」からそうで、この楽曲に関しては最初からタイトルには「スピード」という単語が頭に浮かんだんです。航一と自分を重ねることで、こんなにも幅が広がるのかと。驚きもあり、制作している中で「面白い!」と感じた部分でした。

――ファンや視聴者には、楽曲のどんな部分に注目してほしいですか?

佐藤:2番の「弱気な奴の守るだなんて 響かないよな わかってる わかっていても」という歌詞のあとにフェイク(※原曲のメロディやリズムを少し変えて歌う歌唱テクニック)が入るのですが、そこはわざと言葉を強く出して歌っています。もう崩れそうなギリギリの場所に立っているような状況で、「お前は大丈夫」と自分に言い聞かせているような感じを表現したいと思いました。そこに是非注目してほしいです。

豊田:1番と2番のBメロに「僕は僕のままでいい」という歌詞があるのですが、1番では「?」が付いているのに、2番では付いていないんです。まるで自問自答した末に、踏ん切りがついたような。自分の中の弱さと戦っていることを感じさせる歌詞になっていて、葛藤や心境の変化が見えて、個人的に聴きどころだと思っています。

浦山:「僕は僕のままでいい」の後に「明日を睨んだまま」という歌詞に続くのですが、自分に「そのままでいい」と言い聞かせているようにも感じ取ってもらえるんじゃないかと思います。豊田くんの言ったように、自分の弱さと戦って踏ん切りをつけてはいるのですが、自分を取り巻く事象は変わらないので「明日はずっと怖いよね」と伝えたくてそういう歌詞にしました。

内田:みんなが言ってくれた通りです。曲全体が物語になっているので、航一に当てはめてもらってもいいし、聴いてくれた方がどう解釈してくれるのかが楽しみです。

――エンディング映像を見ての感想を聞かせてください。

内田:ティザービジュアルが出たタイミングでも思いましたが、絵がめちゃくちゃキレイですよね。

豊田:本当に!早くアニメが見たくなりました。

浦山:こっちのけんとさんの歌うオープニングテーマが入ったPVを先に見たのですが、映像と楽曲が合わさることで、アニメの世界が広がる感じがしました。エンディングテーマを担当する以前に、作品のファンなので、とてもワクワクした気持ちになりましたね。

佐藤:最初に映像を見た時は、「夢を見ているのかな?」と思っちゃいました(笑)。改めて、『ヴィジランテ』という素晴らしい作品に音楽で関わることができて、なんだかご褒美をもらった気分です。まだエンディング映像しか見られていないので、本編のラストで流れるのを見るのが本当に楽しみです!

――好きなキャラクターや、注目しているキャラクターは誰でしょうか。

佐藤:共感を持った航一に注目はしつつ、好きなキャラクターは塚内真です。

豊田:注目しているキャラも好きなキャラも、どちらも航一です。まず人間性が好きなんですよね。ヘラヘラして頼りなさそうに見えますが、ポジティブで向上心があり、しっかり努力して結果に繋げるじゃないですか。その芯の強さに尊敬してしまいます。

浦山:僕はナックルと、『ヴィジランテ』でのエンデヴァーが好きです。エンデヴァーに関しては、“ヒロアカ”より冷酷な一面が出ていますよね。やはり“ヒロアカ”好きとしては、違いやギャップを感じるキャラクターに注目してしまいますね。

内田:僕も同じ意味で、相澤先生が出てくるたびに歓喜しています(笑)。“ヒロアカ”で生徒を思いやる優しい部分を見ていたからこそ、「先生にもこんな時期があったんだな」というギャップを感じて、さらに好きになってしまいました。

――これから放送を楽しむ視聴者に向けてメッセージをお願いします。

豊田:「スピード」の歌詞を航一に当てはめてもいいし、ポップに当てはめてもいいし、自由に解釈して楽しんでほしいです。その上で、「yutoriってこんなバンドなんだ!」と知ってもらえたら嬉しいですね。

佐藤:アニメって毎回30分しかないですし、終わりに近づくにつれ寂しい気持ちになるじゃないですか。でも「『スピード』が聴けるから楽しみだ」とか、寂しい気持ちが少しでも減ってくれたら良いなと思います。

浦山:歌詞と自分を重ねてみて、その時に感じた感情を大事にしてほしいです。その時に「弱くてもいい」「無理に自分を変えなくていいんだ」と思ってもらえたら、僕自身、この曲を作った甲斐があったと思えます。

内田:アニメと合わせて楽しんでもらって、もし気に入ってもらえたら、楽曲にも向き合ってほしいです。浦山くんの言ったように、歌詞を自分の弱さと照らし合わせた時に湧いた感情を大切にしてほしいですね。

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TVアニメ『ヴィジランテ 僕のヒーローアカデミア-ILLEGALS-』ノンクレジットエンディングムービー