INTERVIEW インタビュー

航一役・梅田修一朗/インゲニウム(飯田天晴)役・北田理道
オフィシャルインタビュー

――“ヒロアカ”の作品世界との共通点や、逆にこの作品ならではだと感じられるようなポイントはどんなところだと思いますか?

北田:“ヒロアカ”はプロヒーロー、『ヴィジランテ』は自警団をメインとしたお話で、例えるなら『暴れん坊将軍』と『必殺仕事人』のような違いがあると思います。根底に流れているものは共通していて、“個性”のある世界で人々が関わり、その中で自分を肯定したり、誇りを持っていくストーリー。『ヴィジランテ』は“ヒロアカ”に比べて特にその要素が強いと感じていて、現実世界でも自分の見た目や性格に劣等感を持っている方に刺さると思いますし、僕にとってもそこが好きな部分です。

梅田:“ヒロアカ”のデクと違い、『ヴィジランテ』の航一はプロヒーローになることを一度諦めた主人公。その目線で描かれていくところが、この世界観をより魅力的に掘り下げていると感じました。プロヒーローを目指す中でたくさんの困難に立ち向かうデクの姿にも心揺さぶられましたが、航一の目線でしか気が付かない部分もたくさんあります。現実世界でも、できないことに折り合いをつけて、無理やり納得させながら生きている人がたくさんいると思います。同じような日常を送っていた航一がナックルやポップと出会い、自分の正義を育てていくところが、“ヒロアカ”とはまた違った魅力的な“ヒーロー像”の描き方をされていると感じます。

――北田さんは“ヒロアカ”にも出演されていますが、『ヴィジランテ』の世界にはいつ頃触れたのでしょうか?

北田:原作を読んだのは、もう5年以上も前になります。インゲニウムの走っている姿が見たくて単行本を購入しました。“ヒロアカ”登場時にはすでにインゲニウムがステインにやられた後だったので……やっと彼の走っている姿を見られたと感動し、嬉しくなったことを覚えています。

――“ヒロアカ”でも登場したインゲニウムですが、本作ではさらに印象的に描かれ、航一が憧れるような頼もしいヒーローとして作中に登場します。インゲニウムの魅力に感じる部分はどんなところでしょうか?

北田:“ヒロアカ”ではあまり描かれませんでしたが、サイドキックやサポートスタッフなどを中心とした「チームIDATEN」を率いています。第4話で航一を事務所に誘うシーンもありましたが、覚悟を持って人を巻き込める人間だと思います。自分の信じる正義に向かい、人を巻き込みながら、真っすぐ進んでいける人。『ヴィジランテ』で演じてみて、“ヒーローになるべくしてなった人”だと改めて感じました。

――幼少期の弟・飯田天哉とのやり取りも描かれました。

北田:“ヒロアカ”での天哉が「インゲニウム」を名乗ってステインを倒そうとする回は、本当に泣いてしまいました。『ヴィジランテ』ではまだまだ子供で、猪突猛進に真っすぐにしか進めないところが本当にかわいくて……っ。木にぶつかっても先に進もうとバタバタするシーンがありましたが、目の前にある障害物も気にせずに進もうとする天哉に、天晴はヒーローとしての素質を感じたと思います。

梅田:“ヒロアカ”での好きなキャラクターのひとりが飯田くんなので、2人のやり取りが見られて僕も嬉しかったです。

――そんな梅田さんは、第4話まで演じてきて、航一の変化をどのように捉えていますか?ヒーローとしての成長を感じられた部分があれば教えてください。

梅田:これまでの航一は“個性”を人の迷惑にならないように使っていましたが、第4話からは上手く使いこなすにはどうすれば良いかと、“個性”に対してアグレッシブになっていることが一番大きな変化だと思います。そして、その“個性”を使って人を助けたいと素直に行動できるようになったところが、一番の成長だと感じました。

――航一とインゲニウムの関係性についてはどのように感じていますか?

北田:同じく走る“個性”を持っているところにシンパシーを感じていると思います。第4話で天晴が航一に「君のポジションがすでに決まっているなら、俺はそれを尊重するよ」と言うシーンがありましたが、本来ならば取り締まらなければいけない立場にも関わらず、航一の活動を認めている。天晴自身も自分の走るだけの“個性”に劣等感を抱え、それと戦ってきたのだと思うんです。それがあるからこそ、自分を肯定する意味でも航一を認めてあげたんだろうなと思いました。

梅田:そのシーンは、航一が初めてプロヒーローに認めてもらった瞬間でもありました。その瞬間があったからこそ、航一の中の「ヒーロー」というものが、“憧れ”から“目標”へと変化していきます。そして、インゲニウムから教えてもらったことが航一の今後にも繋がっていくので、2人に関係性が生まれたことは今後の展開においても重要で、特別なものだったと思います。

――アフレコで掛け合ってみての感想を聞かせてください。

北田:梅田くんは、とても柔らかいお芝居をされる方だという印象を受けました。セリフが自然と自分の中に入って来るような感覚がして、掛け合っていてとても心地が良かったです。

梅田:嬉しいです……!先輩からお芝居の印象を聞ける機会はなかなかないので、そう言ってもらえて光栄です。僕としても北田さんとご一緒できて嬉しいですし、航一を演じる上でもインゲニウムと会話できることにワクワクしていました。

北田:同じ事務所なのに、ガッツリ一緒になったのはこれが初めてだよね。

梅田:そうなんですよ!初めてガッツリと掛け合えたのに、僕がいっぱいいっぱいの状態だったので、北田さんのお芝居をじっくり感じられる余裕がなくて……。ですが、北田さんの声もお芝居もインゲニウムのように真っすぐで、ストンと僕の中に届くようでした。

――第4話の物語の中で「これは熱い!」と感じたのはどのシーンでしょうか。

北田:原作を読んだきっかけでも言いましたが、やはりインゲニウムの走っている姿を見られたことが、僕にとって本当に胸の熱くなるシーンでした。まず登場シーンから本当にかっこいい!ぜひ皆さんに注目してほしいです。

梅田:あのシーンは本当にかっこよかったですね。僕にとっては、そんなインゲニウムから名刺を受け取ったシーンです。最後にそれを「返して」と言われてしまうんですけど(笑)。でも、それは航一のヴィジランテとしての活動を認めた上での言葉ですし、その後の「ナイスラン!」というセリフもとても熱いと感じました。

――第4話の見どころや注目ポイントを教えてください。

北田:航一もインゲニウムも走る“個性”を持っているので、2人並んで高速道路を疾走するシーンは、カーアクションを人間がやっているようで、見ていて面白かったです。流れていく風景にも引き込まれますし、この2人の“個性”ならではのシーンになっていたので見どころになっていると思います。

梅田:“ヒロアカ”ファンの人にとっては、インゲニウムが登場して活躍することがもう見どころですよね。プロヒーローとしての活躍だけでなく、人柄も素晴らしくかっこいいキャラクターで、そんなすごい人と会話をして、気づきを得るという航一にとっても大事な回になっています。そこに注目してほしいです。

――第4話では、“個性”を使ったアクションシーンがふんだんに描かれました。演じる際に難しいと感じられた部分があれば教えてください。

北田:あんなスピードで走ったことがないので、体がどんな状態になるのか、どれくらい声が出るものなのか、細かくイメージして演じることが難しかったです。ものすごく息が切れているのかと思いきや、プロヒーローであるインゲニウムにとっては普通かもしれないし……。いろいろと考えて、イメージを膨らませて演じました。

梅田:声優ならではの難しさですよね。アクションシーンではないのですが、北田さんと同じくイメージを膨らませて演じなければならなかったのが、第4話前半部分のナックルとスパークリングをしながら会話しているシーン。「リアルに表現して」というディレクションをいただき、さらに航一は「やりたくない」と思いながらも無理やり付き合わされているので、「そんな状況にもし自分が置かれたらどうするか」と悩みながら演じました。

――ちなみに、航一もインゲニウムも疾走する“個性”を持っていますが、この“個性”があったら、どんなことをしてみたいですか?

北田:僕は旅行が好きで、若い頃はいろんな場所に行っていました。最近はあまり行けていないので、走って伊豆の温泉巡りでもしようかな。でも、走って風呂に入って、また走って風呂に入って……としていたら、湯あたりしそうですよね(笑)。

梅田:僕は動物が好きなので、同じ速さで並走してみたいです。

北田:なるほど、良いね。アフリカとかに行って、チーターと対決するとかね。

梅田:楽しそうですよね!

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