INTERVIEW インタビュー
オープニングテーマ すりぃ
オフィシャルインタビュー

――『ヴィジランテ』第2期のOPテーマを担当することが決まってのお気持ちをお願いします。
すりぃ:子どもの頃から漠然と「ヒーロー」という存在に憧れていました。ヒーローごっこをしたり、戦隊作品などを見たりして、僕の中で自然と膨らんでいたヒーローへの目標。それがテーマとなった『ヴィジランテ』の主題歌を担当できると聞いた時は、なんだか夢が叶ったような気持ちでした。本当に光栄に思いましたね。
――多くの声優・アーティストに楽曲提供されていますが、アニメの楽曲を書き下ろすのは初となります。それについてはいかがですか?
すりぃ:僕の音楽を始めるきっかけがアニメ作品だったので、アニメとのタイアップも目標の1つにしていました。高校生の女の子4人組が軽音部をきっかけにバンドを組むアニメなのですが(笑)、それを見て「音楽っていいな」と思ったのが始まりです。「いつか自分もアニメの主題歌を歌ってみたい」と思っていたので、ヒーローへの目標と同時に叶って……感慨深い思いでいっぱいです。

――アニメタイアップ曲を制作する上で、これまでの楽曲制作と違う点はありましたか?
すりぃ:89秒(※放送尺の都合で決められた長さ)という時間制限があることですね。作品の世界観を表現しなければいけない中、限られた枠組みの中でどう組み立てていくか、どれだけ要素を詰め込めるか、といった作業は普段の楽曲作りと違う部分でした。ただ、今言ったように僕自身のルーツがアニメにあり、また楽曲制作もVOCALOIDから始めていて、活動初期から「楽曲は60秒尺で作る」という制限を自ら設けていたんですよね。そのDNAのようなものが刻まれていたからか、難しいと感じる瞬間はなかったように思います。
――『ヴィジランテ』の物語に触れて、どのような印象を持ちましたか?
すりぃ:“ヒロアカ”も「何が善(ヒーロー)で、何が悪(ヴィラン)か」と考えさせられる作品だと思っていましたが、『ヴィジランテ』はその境界線について、より深く考えさせられた気がします。
僕は現実世界においても、生まれた瞬間からの“絶対悪”はないと思っているんですよね。誰かに虐げられたり、洗脳されたり、そういった背景があって悪い方向に行ってしまう。『ヴィジランテ』はわかりやすく“トリガー”というものが存在していますが、現実世界に置き替えて「誰しも環境や外敵によって敵<ヴィラン>になり得てしまう」ということを描いていると感じます。誰かの正義は、誰かにとって正義ではないかもしれない。相手の立場や第三者の視点に立って客観的に考えることの大切さを教えてくれる作品だと思いました。

――楽曲を作る上で意識したこと、また本作のどこに注目して制作されたのでしょうか。
すりぃ:アニメ冒頭で流れるということで、僕のアニメのOPのイメージである「キャッチーさ」は前提に置こうと決めました。作品から拾ったものとしては、ヒーローの存在意義みたいなものをテーマにし、先ほど言ったようなヴィランの攻撃性の裏側にある悲しさも描きたいと思って。重めのサウンドに少し切ないような歌詞が乗っているのは、それを意識しました。また、“ヒロアカ”が爽やかで真っすぐなOPのイメージがあったので、それと差別化したいと思い、アウトローな闇を表現するための音作りを大事にしましたね。
――歌詞を見てみると、特定のキャラクターを意識するというよりは、作品の全体を歌っているように思いました。それはどういった理由で?
すりぃ:歌詞を書くにあたり、原作をすべて読んだ上で「作者は何を伝えたいのか」を考え、僕が「これだ!」と思うことを1巻ずつ抜き出して行ったんです。それを僕なりに解釈してまとめたからか、とても俯瞰的になってしまって。「作品全体を拾いすぎて、第2期のOPじゃないみたいだ」となってしまい、その落としどころをどうするかは非常に悩みました。

――その中で、タイトルにもなっている「キャッチ」というフレーズは、とても航一らしいと思いました。これはどうして付けられたのでしょうか?
すりぃ:ヴィジランテという存在は、敵にとって救いになると思ったんです。ヒーローの手が届かないところに手を伸ばし、さらに虐げられてきたものにも救いの手を差し伸べてくれる。それが『ヴィジランテ』で描きたいものだと思ったので、タイトルにしました。
――ズバリ、楽曲の聴きどころは?
すりぃ:サブスク全盛期の今の楽曲でよくあるのが、頭に美味しいメロディを持ってきて、1番盛り上がるところにもう1度出てくるというもの。僕自身、その構成が大好きで(笑)。この「CATCH!!!」はまさにそれに当てはまり、歌い出しのメロディがサビで再び登場し、大サビでまた流れるという。聴いた方にも「激熱フレーズまたキター!」となってもらえたらうれしいですね(笑)。

――その楽曲とアニメの世界観が合わさったOP映像を見ての感想もお願いします。
すりぃ:めちゃめちゃかっこいいです!クレジットに自分の名前があるのを見て「子どもの頃から見ていたやつ!」と思いました(笑)。いつか自分の名前もアニメのクレジットに載れたらと、ずっと願っていました……。感動して「うれしい」以外の言葉が出てこない……!アメコミ感のある映像が新鮮で、またダークカラーを基調としているのが“ヒロアカ”とは違う、『ヴィジランテ』らしさを感じました。
――その『ヴィジランテ』の中で特に好きなキャラクターや、注目しているキャラクターはいますか?
すりぃ:ナックルダスターです。あの不器用さが、自分の父親と重なる部分があって。「もっとハッキリ伝えたらいいやん!」みたいなもどかしさは、僕自身の父にもずっと思っていたことでした(笑)。それを「好き」だと思えるのは、今だからですけどね。実家にいる時は思ったこともなかったですが、後々思えばあの不器用さが父の良さで、きっと僕を思っての発言や態度もあっただろうな、と。ナックルも娘を思って行動しているじゃないですか。愛情はあるのにそれを素直に出せず、鉄拳でしか表せない不器用さに惹かれます。

――『ヴィジランテ』の放送を楽しんでいる方に向けて、メッセージをお願いします。
すりぃ:先ほど作品の印象でも言いましたが、本作を観ることによって「何が敵となって、それとどう向き合えばいいのか」ということを現実世界に置き換えて考えるきっかけになるのではないでしょうか。その物語がどう映像化されるのか、僕自身がとても楽しみにしている部分であって、ぜひ楽曲と一緒に皆さんにも楽しんでもらえたら。そして、楽曲共々、長く愛される作品になればいいなと思っています。